特定非営利法人おてらおやつクラブ・高山信雄さんインタビュー
「子どもの貧困」にお寺ができることとは?
『未来の住職塾』を通じて
団体の活動に参加
久遠寺に生まれ育った高山さんは、龍谷大学で文学部真宗学科を学び、衆徒(しゅと)と呼ばれる役を10年務めた後に副住職となった。お参りをしたり、檀家の方々と話したりと、法務に忙しい毎日を送っていたが、地域とお寺の関わりが薄くなっている現代において「お寺が時代の流れに取り残されている感覚がありました」という。
そこで参加したのが、全国の住職や副住職などが集まり宗派を超えて勉強する会『未来の住職塾』だった。自分がいるお寺の外部環境(強み・弱み)を分析し、目指すビジョンを描き、理念を考え、実際のアクションの仕方をまとめる“寺”業計画書の制作などを通して「地域の中で久遠寺のやるべきことが見えた」と話す。「都会の中にある久遠寺は閉鎖しておくにはもったいない」と気づいた高山さんは、ヨガやキャンドル、お灸、染物、朗読などさまざまなイベントを手がけはじめた。
そんな中、住職塾の理事(当時)だった松島さんと知り合い、おてらおやつクラブの活動に深く関わるようになった。
長年の活動を通して見えてきた
子どもの貧困の根深さ
これまで支援団体を通して多くの家庭を支援してきた高山さんだが、貧困問題の根深さを日々痛感しているそうだ。たとえば、なかなか断ち切ることができない“貧困の連鎖”。親が教育費を満足に支払えないと、子どもの学力が低下して良い大学に行けなくなり、就職できずまた貧困状態に。
この連鎖を断ち切るためには、食・学習の支援に加えて、10年20年と続いていく人間関係や居場所をつくることが必要だ。助けてと言える環境が常にそばにある…そのためには「団体同士で情報やノウハウを共有しながら協力体制を整えたい」と高山さん。「実際に根本的な解決に結びつくかはわからないですが、社会インフラとなりうるお寺を中心とした地域と支援団体とのネットワークづくり、そしてノウハウのシェアはずっと続けていきたい」と話す。
また、日本に多い“相対的貧困”ならではの問題も根深い。「貧困といってもいろいろな振り幅があります。たとえば、お金がなくて子どもが修学旅行に行けない…ということになると、親子にかなりの心的負担がかかりますよね。遠足などでも、おやつ用の200円が用意できないとなったとき、子どもが”他の家庭と自分の家庭は違う””自分は他人より劣っている”と感じてしまう。親も”苦労している”と言えない辛さがあります。そんなときに”遠足のおやつはおてらおやつクラブさんからもらおう”というふうにサポートできればと思います」。
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