特定非営利法人おてらおやつクラブ・高山信雄さんインタビュー
「子どもの貧困」にお寺ができることとは?
国内の子どもの7人に1人が貧困状態(※)にある日本。服や食べもの、家がないなど、最低限の生存条件を満たせない「絶対的貧困」とは異なり、国や地域の平均的な水準と比べて生活が困窮している「相対的貧困」が問題とされている。当事者の子ども・親は食生活や服装などが普通に見える分、周囲が気づきにくく、当事者は「助けて」と声も上げにくいため、十分な支援が届かないことが難点だ。
そんな見えづらい貧困家庭を支援するべく、2014年に活動を開始したのが『特定非営利法人おてらおやつクラブ』。お寺への「おそなえ」を仏さまからの「おさがり」として頂戴し、子ども支援団体と協力して貧困家庭に「おすそわけ」するのが主な活動だ。今回は、おてらおやつクラブの活動に早くから関わってきた名古屋市中区・久遠寺の副住職、高山信雄(40)さんにインタビュー。取り組みの意義や活動にかける想い、ひいては現在のお寺のあるべき姿まで幅広く語っていただいた。
※平成28年国民生活基礎調査(厚生労働省)
日本の貧困問題には
孤立支援が必要になる
NPO法人おてらおやつクラブが立ち上がったきっかけは、2013年5月24日に大阪で発生した母子餓死事件だった。“飽食の国・日本でも貧困で命を落とす人がいる”という事実にショックを受けた松島靖朗さん(奈良県・安養寺住職)は、お寺にしかできない社会貢献活動として『おてらおやつクラブ』を設立。お菓子や日用品といったおそなえものを、子ども食堂や学習支援などをおこなう支援団体を通して、貧困家庭へ届ける活動を始めた。
現在は国内の1,001の寺院・400の支援団体が参加しており、おやつを受け取っている子どもは月間のべ約9,000人にのぼる(2018年12月時点)。一見大きな数字に感じるが、お寺の数は全国で77,000。参加しているお寺は全体の1.2%だ。おやつを受け取る子どもも、貧困児童280万人のうち3.6%に過ぎず、まだまだ支援の拡大が必要だ。
「活動内容に意義を感じて参加を決めた」という高山さんは、「お送りした物の利用方法は各団体さんの判断にお任せしています」と話す。その上で「家庭へ直接送る支援もおこなっています。シーズンパックと呼ばれるおすそわけを3ヶ月に一度配送しており、その間、メールで受け取り希望のやりとりをしたり、絵手紙で連絡をとったりして、つながりを保持するように努めています」。
物資の提供はもちろんのこと、おてらおやつクラブは活動の一つの意義として孤立支援にも力を入れている。自助(自分の身を自分の努力によって守ること)、共助(身近な人たちがお互いに助け合うこと)、公助(国や県などの行政機関による救助・援助のこと)からこぼれてしまったときに、親子が少しでも心をゆるめられる瞬間をつくる。そして、上記の”三助”に戻していくはたらきかけをおこなっている。「そのためには信頼関係につながる取り組みを積極的にやっていきたい」と高山さんは話す。
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